食べ歩きおでん日記「つれづれおでん」
力(東京・銀座)

2008.05.29
おでんコラムニストの手嶋建元です。
みなさん、今年の冬はたくさんおでんを食べましたか?
たとえば春の七草なんかがそうですが、季節の食べ物というのはその季節を健康に乗り切るために必要なものを効率よく摂るために工夫をした先人の知恵であって、単なる習慣や風習とは異なるわけです。当たり前ですが。
おでんは冬のものとされていますが、野菜や肉をバランスよく摂れるので季節はあまり関係がない。もちろん冬は体も暖まるしもってこいではあるけれど、季節の野菜を入れれば一年中楽しめるし、みんなで囲んで食べることもできる。とまあ、いいことづくめなわけです。

今日は冬の間、テレビでも取り上げられていた銀座の力(りき)さんに行ってきた。
この連載には、デートに使えるおでんのお店を紹介するコンセプトがある。力さんも1階はカウンターになっていて、大人のデートを楽しみたい銀座通のカップルにはお勧めだ。おでん鍋の熱気を楽しみながら、しっとりとおでんを楽しむことができる。
しかし、デートで使えるお店でもデート以外で使われることも、もちろんある。
今回通されたのは2階にある畳の広い座敷。小さな衝立の向こうでは新入社員歓迎会なのか、若い男女がわいわいと楽しそうに食べていた。こういうお店の楽しみ方としてはアリだなと微笑ましい気持ちになったのだった(正直、うるさかったが)。
で、肝心のおでん、とりあえずダーッといろいろ頼んでみた。

写真でわかるだろうか。関西風の透き通ったダシはさっぱりとしているが昆布がきいていて味わい深い。
玉子、はんぺん、大根、ひろうず(がんもどき)。特にお勧めはじゃがいもだ。しみこんだダシがじわっとひろがり、口の中で溶けていくような柔らかさはなかなか他では味わえないかもしれない。他には、くじらのプリプリとした食感もなかなか。

最近ではおでんの具として、もはや定番になってしまった感もあるトマト。ここではプチトマトが出てきた。さわやかな酸味が残っていて美味しい。

ちくわ、ロールキャベツ、タコ。
ロールキャベツとタコは絶妙の歯ごたえが残っている。

新入社員の集まりは、しばらくすると出て行き、その席には新しいお客さんが座る。今度は部長さんたちの集いだろうか。少し落ち着いた雰囲気にがらっと変わってしまった。新入社員の彼らも、成長してまたここにくることがあるのだろうか。